ごあいさつ

慶應義塾大学 医学部長

慶應義塾は安政5年(1858年)に福澤諭吉により開設され、平成20年(2008年)には150周慶應義塾大学医学部長年を迎えました。医学部は大正6年(1917年)に北里柴三郎博士を初代医学部長に迎え医学科予科部門としてスタートし、2017年に100周年を迎えようとしています。

贈医の七言絶句

福澤諭吉から北里柴三郎に贈られた「贈医の七言絶句」

福澤諭吉が北里柴三郎に贈った「贈医」の七言絶句では、「医学は自然と人間の果てしない闘いである。病の臣となることなく、鋭い洞察力、繊細な感性、研ぎ澄まされた技量で疾患と闘うべきである」ということが説かれています。

この度、慶應義塾大学医学部ではヘルスケアに取り組む拠点としてK-PHIという組織を立ち上げました。「贈医」の志に現れているような、未病の段階から健康と向き合い疾患と闘っていくための拠点とも呼べるものです。

本塾大学医学部・大学病院では、電子カルテの情報や未病段階での健康情報に関して、理工学部やSFCとの連携のもと、動的自然言語解析や感染症における質量分析といった手法による超早期診断の実現を目指すべく、地域地方の中核病院や開業医の関連病院のネットワークとともに、情報統合と共有の仕組み作りを行なっています。

また、高精細の画像診断や遠隔での内視鏡技術の活用、医療創薬加速システムの開発というような先端的な医療の推進とともに、匿名化された医療二次情報の利用あるいはメンタルヘルスや運動、食といった裾野の広いヘルスケアへの取り組みを行います。

慶應義塾では、大正15年(1926年)に財界人の厚意により食養研究所が設立され、栄養増進、食事療法、ビタミン学の研究等が行われ、日本の病院給食もそこから始まるなど、食に関する研究をリードして参りました。私たちはその誇りを持ち、開業医の先生方の協力の下、未病の状態の時から食に関しても、サイエンスとして扱えるよう研究を進めます。

大学が企業とともに健康に関する新しい商品やサービスを考えるような場はこれまでありませんでした。K-PHIでは、「自我作古」の精神で、他に類を見ない、大学でないと出来ないインフラづくりを5年10年とかけて行い、点から線へ、線から面へと、より高精細でリアルなヘルスケアのビジョンを描いて参ります。

慶應義塾大学 医学部長

慶應義塾大学 医学部長

1983年慶應義塾大学医学部卒業、内科学教室に入局。84年同大大学院医学研究科内科学専攻、91年米国カリフォルニア大学サンディエゴ校応用生体医工学部留学、2001年慶應大医学部教授(医化学教室)、07年10月から現職。専門は代謝生化学、微小循環学。

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